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寺前町の家

新築住宅の計画敷地について、昔は沢山の工場があり活気盛んな街でしたが現在では古い工場や住宅が密集した単調な市街地で季節柄と重なり寂しい場所でした。

冬が明け春になると周辺の緑がひっそり目に入り、今ある自然と新しく植える自然を生かせる敷地構成を検討しました。

北東側には隣家の桜の木があり、その風景を2階に配置したLDKに取り込むように窓の計画をしました。また新しく植える植栽についても1階北側においては地窓を配置し道路からの視線をゆるやかに遮りながらも自然を感じる窓配置にしました。

外壁には一つ一つ風合いの違う建材を使用し、外部収納には溶融亜鉛メッキにリン酸処理した扉を使用しています。建物全体のパーソナリティが単調にならないよう調整しながら自然と経年変化を楽しめる素材を採用しました。

玄関には地窓を介して近所の方と気軽に話せるように腰掛けられる長いカウンターを設置したことで新しい会話が生まれました。空間においては真鍮をベースにオリジナルの照明や金物をアクセントに散りばめ、白ベースの壁と木フローリングのつなぎの役割を持たせてます。

1階には2つの部屋を並列させ繋ぐように中庭を配置し、隣の部屋にいても同じ景色を眺めることができます。外に出て縁側のようなコンクリートベンチに腰掛け季節の移ろいを感じれます。

庭にはシンボルツリーに二人の子どもに選んでもらったヤマボウシの木を2本植え、建物のどの部屋からも見えるように設計しました。奈良の知り合いの庭から伐採予定だった木々を譲って頂き自分たちで引っ越しさせた経緯と、この土地は大和川が河口域にあった歴史から、石には生駒石を使用し奈良より長い旅をしてここに来た石と自分の境遇に重ねて選定をしています。

 2階リビングは登り梁を使用した大きな空間とし他部屋は天井高さを抑えた分広がりを感じる空間としました。LDKとフラットに続く中間領域であるバルコニーが連続しており1階から伸びたヤマボウシが姿を見せています。北側の窓から南側のバルコニーまで一体となった抜けのある空間で家族全員が伸び伸びと過ごせる居場所を目指しました。

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